木陰雲 / Kokage-gumo

イベント企画パビリオン・トウキョウ2021において、靖国神社近くにある旧山口萬吉邸の庭園に設置されたパーゴラです。

パーゴラは庭全体に張り巡らされ、周りのビルや喧騒から切り離された世界をつくっています。さらにあえて光を遮ることで木漏れ日や開口部からの光が強調されて、美しい空間がつくられていました。

パーゴラを構成する素材は強力なバーナーで焼いた焼杉。焼き方にも濃淡があり、場所によっては焼き切ったりもしているので、素材そのものにも様々な表情があります。見方によっては、廃墟というか火事の焼け跡に植物が逞しく成長しているかのようにも見えて、興味深かったです。

それにしても黒い焼杉の間から見える青い空が何とも美しい!

今回のパーゴラ、「期間限定の建物」にも関わらず、場所の選定、素材、工法、工期(このパーゴラはイベント開幕後、他のパビリオンに遅れること1週間後にようやく完成した)などに妥協無く取り組んだのであろうということは明確に感じ取ることができ、さすが石上純也さんの作品だと改めて恐れ入りました。

 

< note建築探訪 >

日陰が心地良い木陰雲